部活へ行くと、玄関で「やめたい」と言い出した生徒4人がワタシを待っていた。

何か一言声を掛けてやりたいという気持ちと、去るものに言うことは何もないという気持ちと正直入り混じっていた。
会議室へ連れて行き、4人と一緒にテーブルを囲む。
「なぜ、今になってやめたいのか?」
「今までこれだけ練習してきてなぜ大会目前にしてその努力も無にしようとしているのか?」
「そこまでしてやめたい理由はなんなのか?」
勉強に専念したいというセイトは2人。
後の2人は無言だった。
「やめたい」と自分の主張は言えるのに、その理由を述べない。
ワタシのこのときの場合、この子達を攻めるというよりも自分が一生懸命やってきたことに生徒とのこれだけの温度差があったことにただただ悲しかった。
4人がただ「やめたい」がために、(この場合は理由をも述べない生徒がいたのでこの言い方で)他のメンバーがどれだけ辛い思いをしているのか?一生懸命やっているメンバーにものすごい迷惑をかけて「やめていく」こともわからないで、「やめたい」と言っていることに対して、ワタシ、ちょっとキレました。
4人がそれぞれ自分の言い分だけを言っているだけなら、ワタシも自分の言い分だけで言わせてもらうけど。
「教えている私たちが、あなた達を全国に行かせてやりたい。そう思うことはいけないことなの?」
「ここまで一生懸命教えるのは、一つ一つ、今までの先輩達が賞をを取って1回目、それを見た後輩達が次に2回目と、賞をもらうことに励み、頑張り、始めのころは県大会で最優秀賞を取り全国で演奏することを目標として、今では全国で賞を取りたいというところまで意識が向上し、そうやって伝統って作られるもので、生徒のみんなが頑張っているから、私たちも次も!次も!って頑張って教えてきたのに、それはいけないことなのか?」
それを「大会ってなんですか?」「出なくちゃいけないものですか?」「みんな出たいって思ってるんですか?」そうあなた達が思うのでは私たちはやりきれないよ。彼女達は顧問の先生にはこうはっきり言ったという。
ワタシの前ではなにも言ってはくれなかったから、ついに出てしまったし切れた。

でも、彼女達に言った。ワタシの本当に思う気持ち。本当について来れないで辛くてやめたいというのならワタシは何も言わないけど、ちゃんと弾けていて合奏のメンバーとして必要なあなた達からやめたいといわれたら、教えているワタシは本当は辛いということを。
そして、昔にやめたいといった来た子が最後までやり遂げた時に、「あの時に先生にやめないで頑張ってみたら?」といってもらえてよかったといわれたことがあったので、今度やめたいと行ってきた子があったら、ひとこと話がしたいと思っていたと。それでも気持ちは変わらないとしたら、それはそれでいい。でもワタシの中ではあの時に何か言ってあげていたらという後悔がないほうがずっといい。
一日だけ考えてみたら?それだけ言って合奏練習に戻った。
あの子たちに少しでもこころに響くものがあって欲しいと願って。